2014年5月4日日曜日

ホヤ養殖のお手伝い

記 : 杉崎 庸子

前回、夫の杉崎順一が活動報告を書いたのと同じ浜に、4/30(水)に行ってきました。
東京の大学生S君(秋田出身)も同行。チーム王冠への参加は初めてながら、震災後、南三陸にボランティアに行ったことはあるとのことです。とても実直で誠実な青年で、頼もしかったです。 

私自身は、この浜は2月に続いて2回目です。作業内容は2月と同じなので、比較的スムーズに作業に入れました。

ホヤの卵を海中で付着させるのは牡蠣の貝殻。穴を開けた牡蠣の貝殻をできるだけたくさんロープに通して行きます。その際、貝殻についているフジツボはナタでこそげ落とします。(フジツボに付着したホヤの卵は脱落しやすいため)
 
 
 

この浜に限らず、漁業の収穫物はキロとかトンという単位での取引なので、この貝殻付きロープも大量に(おそらく何千本)作らねばなりません。でも黙々と作業しても、1日で2人で30本くらいしかできません。
大量に仕入れた牡蠣の貝殻から使えるものを選び出し、穴を開け、ロープに通す、、、ホヤ養殖の陸での作業のほんの一部分でもこれだけの手間がかかります。
通年でこの作業を続けて、次の種付けまでに殻つきロープを準備します。
 

こちらの漁師さんは、元々はホタテの養殖をやっていました。ホタテの方がホヤよりも出荷できるまでの期間が短く、現金収入の時期は早いのですが、初期費用がホタテよりも少なくて済むという理由で、震災後からホヤの養殖を始めました。ホヤは、通常、出荷までに3年かかると言われています。 

手前はロープに通した貝殻の山。
分かりにくいですが、画面左上の木から垂れ下がっている丸いウキのところまで、津波が来たという印です。
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漁師さんご夫妻のお話から


「今年は出荷はできないだろうと思っていたが、思いのほかホヤの生育がよく、出荷することができて、本当に良かった。ホッとした。震災で海がきれいになって生育も良いようだ。」

 「ホヤの天敵はウニ。津波でウニが全部さらわれて、ホヤが育ちやすい環境になった。震災前は天然のホヤは見なかったが、今年は岸壁にびっしりくっついている。」

「ホヤの主な出荷先は韓国のはずだった。ホヤとキムチを混ぜて食べるのが、韓国の人は大好き。でも昨年の秋から、韓国は東北からの輸入を止めたから、大量の出荷先がなくなったのが痛手。」
【注】 事実上の政治的な理由から、韓国では東北を含む8県からのすべての水産物の輸入を制限(昨年9月)。
  水産庁HP 「韓国による日本産水産物の輸入規制強化について」

 
「2月に泥棒に入られた。物置のテント小屋を3か所破って、草刈り機とか夏用のタイヤとか、新しくて転売できそうなものばかり持って行かれた。道路に面したところに防犯カメラもあるが、事前にその電源コードも切ってあった。別の日には、近くのガソリンスタンドにも空き巣が入った。」

「何とかやってこられたのもボランティアさんのおかげ。以前はここに住んでいた人も、今は内陸の仮設にいるから、年配の人は通えない。
私(奥さん)も、みなし仮設に住んでいる。時々気持ちが塞がって外に出たくないなと思うこともあるけど、『きょうはボランティアさんが来てくれるから行かないと』と思って、来る。来ればやっぱり浜の空気は良い。気分がスッキリするの。」
 
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「海のパイナップル」、ホヤ。
「ホヤ貝」と言いながら、外の殻は通常の貝のようにカチカチではなく、ゴムか樹脂のよう。
そして根っこのようなものまである、不思議な生き物です。



 
私たち夫婦が夜中に移動して、横浜から日帰りしていることなどを覚えていてくださって、奥さんは「ありがとね、申し訳ないねぇ」とねぎらってくださいました。
でも、地元のボランティア団体(チーム王冠)が継続的にかかわっているおかげで、私のように会うのがまだ2回目でも、親しみを持っておつき合いすることができます。(いや、でもまだまだ遠慮されますが。)
たまにしか行かれませんが、日々の生活に寄り添うようなお手伝いを今後もして行きたいと思いました。

 
※ 「自分もボランティアやってみようかな」と思った方、ぜひ来てください。初めての方でもできることはたくさんあります。ご質問はお気軽にどうぞ。