2013年5月21日火曜日

今期暖房器具支援最終報告

一月末より行っておりました、被災地暖房器具支援についての
最終報告をさせていただきます。再掲になりますが

購入した合計台数
・石油ストーブ 2台
・コタツ(ヒーター含む) 16台
・コタツふとん 10セット

今シーズンに購入した暖房器具に関する
支払合計金額は205,750円となります。


北上の集会所に届けた大き目の石油ストーブ


配り先は主に「みなし仮設」、「在宅避難世帯」に住むご高齢者で、
その中には大街道、渡波という津波被害が直接的にあった地域と
仙台、大崎といった比較的被害の小さかった地域があります。

配布先のうち、実に7件が仙台市です。

避難者と通常の生活者が見分けられず、
相談をする人のいない高齢者の方が、
自宅に引きこもり、ストーブひとつない部屋で暮らしている現状を
もっと多くの人に知ってもらいたいと願うばかりです。

「みなし仮設」の実態の把握の難しさは、
このブログでも度々報告させていただいておりますが
今回皆様からの支援をお届けできた世帯も、
たまたまその存在を知ることができたためで

実際には同様の支援を必要としている方が
数多くいるのだろうなぁと思っています。

これからも度々足を運ぶつもりでおりますが
暖房器具支援も、今年も、来年も、再来年も続くかもしれません。
まだ普通の暮らしがもどっていないという現実を受け止め、
1年、2年、3年と区切るのではなく
あくまでも現場で見てきたこと、感じたことを大切に
私たちにできる必要な役目はなんなのかと言うことを
これからも考えて、行動に移していければと思います。

最後になりましたが、今回も暖房器具支援に
たくさんのご協力いただき本当にありがとうございました。

昨年に引き続き私たちの活動を支えていただきました
チーム王冠の皆様、ラジオOTTAVAの皆様にも御礼申し上げます。

今後とも何卒よろしくお願いいたします。

東北ほっとプロジェクト:笠原宗一郎

2013年5月11日土曜日

「浜のおばちゃん」ストラップと石巻のCDショップ

東日本大震災の特徴の一つとして、南北数百キロに及ぶ広い範囲が津波被害を受けたことが挙げられます。仙台市など人口の多い都市部と小さな漁村など人口のきわめて少ない土地では、復旧・復興の様子も違いが見られます。
このうち後者ではもともと少ない人口に加え、高齢化、貧弱な交通手段、脆弱な経済基盤など、復興の足かせとなる要因が多く、まだ先の見えないなかで多くの人たちが暮らしているのが現状です。

そんな地方沿岸部に暮らす浜の女性達が、震災後に作り始めたものがあります。「浜のおばちゃんストラップ」と名付けられたこのストラップは、津波被害の甚大な石巻市雄勝町のある浜で作られています。このストラップが作られるようになった経緯は、実際に訪問したボランティア仲間のブログに詳しいのでそちらをご覧ください。
▼Something fine for TOHOKU  石巻雄勝・「浜のおばあちゃん」のストラップ





ストラップ作りは浜で生活するおばちゃん達のコミュニティー維持にも一役買っているわけですが、実際に売れて現金収入になればストラップ作りもさらにモチベーションがあがります。そこで石巻の(社)チーム王冠は、石巻駅近くの中心部に店を開く地元のCDショップ、ミュージックショップ・オバタさんの協力を得て、店先にストラップを陳列、販売してもらうことにしました。


ミュージックショップ・オバタさんは石巻駅から石ノ森漫画館へ向かう途中にあり、近くには賑わいを見せる復興マルシェもあります。石巻観光、特に石ノ森漫画館へ行く折りには立ち寄って浜のおばちゃんストラップを実際に見てください。

ミュージックショップ・オバタ 石巻市中央2-12-2

大きな地図で見る


実はこのミュージックショップ・オバタさんも311で甚大な被害を受けたおひとりです。お店のある石巻駅周辺は津波と地震で壊滅的被害を受けました。流された車が路上で幾重にも重なった惨状を報道などで見た方も多いと思いますが、あのあたりです。
報道で多く取り上げられたこともあり、他の場所に比べボランティアも早い時期に入り、がれき撤去や泥出しが進みました。ボランティアさんの活躍もあって店を再開する気持ちになったと店主は語っています。


しかしながら震災後仮設住宅に移り住んだ方も多く、周辺の住民は減ってしまったそうです。以前のような見抜き通りとしての賑わいは今は無いのかもしれません。店主は「別にCDを買ってくれなくてもいい。出かけたついでに寄ってお茶を飲んで行って欲しい。地元の人がちょっと寄れる場所になれば・・・」と話されています。

また「ミュージックショップなので通りに音楽が聴こえるようにしたいが、津波で機材が使えなくなった。新たに買うのも出費がかさむので躊躇してしまう」とも話されていました。

これを受け私達のプロジェクトの代表笠原君が自分で使っていたスピーカーやアンプなどを提供することになりました。5月上旬、私が石巻へ行くタイミングで笠原君から機材を預かって運搬。直接お店へお持ちして設置することができました。これで店内だけでなく表通りに向けて音楽を流すことができるようになり、大変喜んでいただきました。


---*---*---*---*---*---

震災から2年以上が経過し、今後はこのような個別的な支援活動が増えていくと予想されます。借上げ仮設の賃貸借契約更新問題など、被災地では2年がたった今だからこそ新たに表面化した問題もあります。
石油ストーブ支援の折に多大なご協力をいただいた支援者の皆様には、まだまだ続く復興への取り組みにお心を寄せていただければ幸いです。私達はできる限り現地に足を運び、可能な範囲で見たこと聞いたことを伝えていくつもりです。引き続きご協力をお願いいたします。

◆ご寄付受付口座番号
ゆうちょ銀行 10200-2417881 東北ほっとプロジェクト
他の金融機関から振り込む場合 店名:ゼロニハチ(〇二八)普通預金 0241788


報告:杉崎順一

2013年5月6日月曜日

活動報告と2年間を振り返って

4/26~29、4日間の活動について笠原が報告させていただきます。


【活動内容】
漁業支援(ワカメ・コンブ出荷手伝、ホヤの養殖準備)、床下泥出し

【感想】 
2年前の4月下旬、初めて石巻を訪れました。
道路の瓦礫、倒壊した家々、鼻をつく悪臭、大量発生する小虫。
忙しなく行き交う、自衛隊、警察、アメリカ軍、建設会社の災害従事車両。
当時の事をいろいろと思い出しながら作業をしていました。

いまそこには新しい家が建設され、お店が再開し、
一つ一つ積み重ねてきた努力が形となって現れています。
そのことに関しては本当に感無量で嬉しい限りです。
(もちろんまだそうでないところもあります。)


一方で物理的な「ものを片付ける作業」とは
違う段階の問題がまだまだ多く残っている事も考えなくてはなりません。
そして、悲しみとやるせなさ、心の問題も癒えるはずはございません。

長い期間、度々足を運んでいる人、
初めて被災地へ来る人、
まだ直接見たことのない人、

このブログをご覧いただいている方々も様々かと察しますが、
震災復興に意識を向けられている事と思い報告を書いております。
何をどう伝えたらいいのか?試行錯誤と自問自答の連続ではございますが
一人の人間としての立場から情報を発信させていただいております。


震災から2年が経過し、
「必要とされているものは何なのか?」
「問題となっていることは何なのか?」
いつも考えますが、大きくは以下の2つに分けられるかと思います。

『震災に由来するもの』
『日本が直面している社会問題』


前者は例えば、
稼業の再開、コミュニティーの崩壊、心のケア、高台移転、防波堤の整備
後者は、
高齢化社会、過疎化、第一次産業の保護などです。

復興に向けた歩みとして
その両者を”切り分ける事ができない”というのが
被災地の現状なのかなと思っています。

高齢者の引きこもりは
「震災による地域社会の崩壊」
「借り上げ仮設住宅での孤立化」
をきっかけに益々深刻になっています。

ちょっとした仕事や、近所つきあいが出歩くきっかけであり
社会とのつながりであったのに、それがなくなってしまっています。
これは時間が解決してくれる問題ではなく、
誰かが何か施策を打たないとどうにもなりません。

杉崎さんからの活動報告でもありますが
移動式のお茶っこバスはそのような状況への対応としての
現地ボランティア団体さんの行っている活動の一端です。


今回の活動でも漁業支援では出荷のお手伝いをしてきました。
再開した漁業に、受注がくるところまで復旧しました。
しかし人手不足によりそれを出荷する準備が追いつかない。

「収入に直接関わる作業をボランティアが行うことは
雇用機会の喪失に繋がる」

という意見もあります。筋論で言うとそうなのかも知れませんが
漁師さんも農家さんもあの震災・津波によって甚大な被害に遭い、
船、 網、冷蔵庫、トラクター、ビニールハウス、石油タンク
みんな流されてしまいました。

先に挙げたような高齢化、過疎化などもあり、
一度は再開をあきらめた所がほとんどです。

しかし、時間の経過と共に「やはりもう一度やってみよう」
そういう前向きな気持ちが徐々に出始め、
そのスタートに踏み出したのが、まさにここ一年です。
0からの、いやマイナスからの出発かもしれません。

行政の補助(手続きの複雑さとスピード感には課題も多い)
 もありますがやはり多くの出費も否めません。
準備には数千万円規模の費用がかかります。

私も作業をお手伝いして知ったのですが
ホヤなどは仕込みをして種を海に沈めてから
収穫できるのは3年後なのだそうです。

漁業を再開し一年目の作業を終えても、その年は収穫できず、
しかしさらに三年後を見据えて準備をしなくてはなりません。
翌年も同じです。つまり収入がない中で、
元の漁業サイクルを取り戻さなければなりません。

震災前は従業員もいました。
繁忙期には近所の人が助け合って作業をしていました。
それが雇用の賃金支払いも厳しく、
仮設への避難、移住など人口の流出は歯止めきかず
地域コミュニティもなくなってしまっているのが現状です。
慢性的な人手不足との葛藤。

そういう自然とのサイクルが崩れてしまった暮らしを
元のサイクルに載せるお手伝いも、復興のための一助と信じております。

この”東北ほっとプロジェクト”を立ち上げた時の理念として
定款にもございますが、
「私たちの活動に賛同して下さる方と
それを必要としている方を繋ぐ架け橋となる」

という事は常に私たちが心がけていることでございます。
私たちは結成当初から3人という人数で今日まで活動をしております。
ひとえに現地で支えて下さる方々、
遠い地域より援護して下さる方々、
ご支援いただいている全てのおかげです。

二年という月日が経過した今、
もう一歩、被災地への架け橋となるための手段を模索したいと思います。

「こんなことが知りたい」
「こんなことができるのだけど需要はあるか?」
「何か手伝いたい気持ちはあるけれど何をどうしたらいいのか分からない」

などございましたらお気軽にご連絡いただければと思います。
今後ともよろしく お願い申し上げます。

tohoku.h.p@gmail.com

文責:笠原宗一郎



2013年5月4日土曜日

チーム王冠へのタイヤ代カンパについて

我々と連携して宮城県石巻市を中心に支援活動を続ける現地のボランティア団体、(社)チーム王冠の活動に使う車のタイヤが盗難にあったことについては既報の通りです(3月下旬の記事)。そして必要な物資を運搬し、ボランティアが安全に活動を続けるためにタイヤ代のカンパを皆様にお願いして参りました。趣旨に賛同してご寄付を預けていただいた皆様には改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。

5月1日と2日、チーム王冠の活動に参加してきましたので、このタイミングで活動車1台のタイヤを新調することができました。今回、東北ほっとプロジェクトがタイヤを提供したのはワゴンタイプの活動車、トヨタ・レジアスです。この車は最大8人乗れる車で、ボランティアや道具類、支援物資などを運搬するのに活躍しています。




この車のタイヤ交換費として、東北ほっとプロジェクトから64,660円を支払いしたのでご報告いたします(収支報告に記載済み)。
今回は私が車両を預かってタイヤ交換、支払いを済ませるという方法を取りました。

チーム王冠はこの車の外にも、トラックから軽自動車まで10台近い車両を活用しています。もちろんすべては無理ですが、さらに最低1~2台は東北ほっとプロジェクトで協力できればと考えています。引き続き皆様のご理解とご協力をお願いいたします。


◆ご寄付受付口座番号
ゆうちょ銀行 10200-2417881 東北ほっとプロジェクト
他の金融機関から振り込む場合 店名:ゼロニハチ(〇二八)普通預金 0241788


報告・杉崎順一