2013年3月23日土曜日

ワカメ加工のお手伝い


暖房器具支援のためのご寄付や情報の拡散でご協力くださった方には本当にありがとうございます。
先日、支出のご報告は簡単に致しましたが、詳細は近日中に笠原君の方からあらためてこちらでご報告しますので、どうぞ、今しばらくお待ちください。


今回は、ワカメ加工のお手伝いのレポートです。
※「ボランティアが地元の仕事を奪うことになるのではないか」という点については、過去の活動報告に記載していますので、ご参考になさってください。
2012年8月5日レポート「石巻での漁業支援活動」
  
http://tohoku-hot-project.blogspot.jp/2012/08/blog-post_5.html


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3/13(水)に、チーム王冠の活動に参加し、石巻中心部から車を飛ばして1時間のところにある浜で、ワカメ加工のお手伝いをした。
 
今はワカメ漁の最盛期、三陸の浜ではどこでも人手が足りない。アルバイトを募集しても人が集まらない。莫大な借金を抱えて再開したのに、タイミングを逃したら収入にならない。

聞くところによると、「採って来た生ワカメはすぐに適切な処理をせずに置いておくと、ドロドロになって商品価値がなくなる。また海からワカメを採ったら、その隣の残されたワカメは急激に大きくなり、これを放置するとこれまた固くて商品価値のないものになってしまう」と。

だから今の時期、ちょうどよく成長したワカメを採って、適切に加工するしかない。実際「新物」の季節で、注文はたくさん入っている。ワカメ採り、何工程もある加工作業、袋詰め、電話応対、発送作業など、現場(家族経営で従業員入れても数人、それにボランティア2名)はてんてこ舞い!
 
 

昨年11月末にお手伝いに行った時に、3センチほどの薄くてピラピラのワカメの種は、なんと長さ2~3mの立派なワカメになっていた。海のめぐみってすごい!と感動。
 
朝一番で採って来たワカメは、熱湯でゆでて冷水で冷やし、25キロずつネットに入れる、というところまでを午前中にやらねばならない。
その後は、塩水が満たされた巨大洗濯機にネット入りワカメを入れて撹拌(塩をまぶす)、脱水し、保管用の木箱に詰める。一部はワカメから茎やスジを取り除き、出荷作業へ。


午後は、出荷するための作業。

この日は、15:30までに塩蔵ワカメ600袋を作って箱詰めして発送しなければならないということで、みんなで大車輪で作業を進めた。ダンボールに詰め終わったのは15:15。15分遅れの休憩を取ろうとしたところへ宅配の業者さんがやって来て無事に引き渡して、みんなでホッとして飲んだお茶が美味しかった。
 
 
ここでは、船、加工場(当然、中の機械類も)、トラック、車、フォークリフト、冷蔵庫、、、全部全部流された。

公の助成金は、新品の船にしか適用にならない。中古の船は助成金なし。
しかし東北の太平洋側のすべての浜が被害にあっているのに(本当に「すべての」浜、被害のない浜はない)、新しい船がすぐに調達できるわけがない。調達できたとしても、支払いはまず自分たちでやって、その後に助成金が入るので、銀行からの資金調達は自力でしなければならない。
 
先月にお手伝いした時は、脱水の機械の調子が悪いということで、午前中に終わるはずの作業が夕方までかかった。全部が新しい機械で、微妙な扱いが異なる模様。男性陣が悪戦苦闘していた。その前には、ゆでたワカメを冷水に移すベルトコンベアーが動かなくなって、作業できなかった、とのこと。
道具を揃えても、軌道にのせるのは難しい。

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ここの会社の方は、ボランティアで来た人たちに、お礼の気持ちでワカメをプレゼントしたいのですが、人員をコーディネートしている「チーム王冠」では、参加したボランティアが、ワカメをいただくことを固く禁じています。

それは、マイナスから出発した漁師さんたちからは、まだまだいただくような段階ではないからです。ボランティアの住まいに発送することもできないように、「住所も教えてはいけない」というルールです。

チーム王冠の伊藤代表によると、「これまでにワカメ作業に、昨年だけでも延べ200人以上を送り込んだ。単純にそれだけの人に、お礼だと言ってワカメを送ったら、送料だけでも莫大な金額。今はまだそんなことができる状態じゃない。裏を返せば、再生するまでこの先もずっと関わって行く決意があるからこそ、そういう方針にしている」とのこと。

確かにこのルールは厳しいのかもしれません。
でも一定の線を引かなければ、結局は地元で頑張っている人たちの足を引っ張ることになります。
私のようなリピーターは、お互いに親しみもわきます。それだけに「親しき仲にも礼儀あり」としていることが、堅苦しいかもしれないけど、逆に信頼関係を深めていると感じました。

冒頭に書いた通り、今はワカメの最盛期です。4月中旬までこの作業が続きます。
賃金を支払うつもりでアルバイトを募集しても応募がなく、現場の漁師さんや家族、従業員の皆さんは毎日必死で頑張っています。
先述の若奥さんは、「本当はボランティアさんには毎日5人くらいずつ来て欲しい。でもどこでも人手不足だからチーム王冠には言えない」と遠慮されています。

先日の3月11日、全国で「忘れない」と言われていましたが、私個人としては、「忘れない」ということは、1年に一度のイベントに参加することではなく、支援し続けることだと考えています。千年に一度の大災害に遭って、2年やそこらではとても通常の生活には戻れません。息の長い支援が必要です。

復興へと進み始めた浜の漁師さんたちを応援してください。もちろん漁師さんだけでなく、人手を必要としている現場はたくさんあります。可能な方はぜひご参加ください。
 
記:杉崎 庸子
 

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