2013年2月25日月曜日

被災地の状況、その一例


2/20(水)に、杉崎順一と杉崎庸子の2名で、それぞれお茶っこバスと漁業支援の活動をして来ました。その件はまたあらためてご報告させていただきます。

お預かりした支援金は、随時状況を見て、現場に合った暖房器具を購入し支援させていただきます。これまではチーム王冠にあった現物から渡していましたが、その在庫も尽きてきたので、当プロジェクトの支援金からコタツとコタツ布団を調達する予定です。具体的な支援先も挙がって来ていますので、確定し次第、ご報告致します。
ご寄付や情報拡散などでご協力くださった皆さま、関心を寄せてくださっている皆さまに、心から感謝しております。本当にありがとうございます。

今回は、現地での状況の一例をお伝えします。みなし仮設などを回って現状を見てきている、チーム王冠の伊藤代表のお話です。

-----------

仙台の「みなし仮設」に一人でお住いの男性を訪ねたところ、
「自分は病気をして手術とその後の治療のために仙台のみなし仮設にいて、無収入。 70代の父親は石巻の仮設に一人暮らしで、収入は年金のみ。現在は治療の関係で一緒に住めないので、父親のところを見に行って欲しい」と言われた。 そのお父さんのところに行くと、「息子から言われたから会うけど…」という、あまり歓迎されない様子。

しかしエンゼルボックス(注1)という食糧支援の箱を渡しながら本当のところを聞かせて欲しいと言うと、思いのたけを話し始めた。
「某有名団体はいくつか見回りに来るけど、挨拶だけで話はして行かない。だから今回もそうかと思った(注2)。 年金は2ヶ月で10万円なので、1月当たり5万円の収入。震災後にカードで身の回りのものを購入したので、その支払いなどをすると、手元には全然残らない」と、手持ちの現金30円と通帳から何からすべて見せて話した。

(注1) エンゼルボックスは、3日分の食料をダンボールに詰めて送る食料支援です。
「いまだに食料支援?」と思われるかもしれませんが、慣れない土地で周囲に買い物できる場所がなく、足となる車も持てない人、また日々の生活にも厳しい人にとっては、本当に助かるものです。
また何よりも「被災地のことを忘れていませんよ」というメッセージを送ることにもなります。
※エンゼルボックスについて
  http://team-ohkan.net/?page_id=1718

(注2) 某有名団体が、挨拶だけで話をしないのは、被災者の話を聞けば対応しなければならず、自分たちの仕事が増えるので話は聞いてはいけないと上層部の人間から言われているとのこと。実際そのような現場に失望して辞めて行く職員もいるという。

----------

このお父さんと息子さんには暖房器具を差し上げたわけではないのですが、被災地ではこのように多様な問題があるということでご紹介しました。
震災発生直後のように、ある地域に大量の物資を届けるという段階ではなくなりました。2年近く経って、それなりの日常生活を取り戻した人もいますが(それでも精神的なダメージからの回復はまた別です)、苦境から抜け出せないままの人もたくさんいるのが現実です。


実際に地元で動いて情報を得て、訪ね歩いてどのような支援ができるかを考え実行するのは、時間も労力も資金もいることです。 特にみなし仮設にお住まいの方は、一か所に固まってはいないので、1日に何軒も訪ねられず非効率で、交通費やガソリン代の費用、車の維持費だけでも莫大だというのは、車で現地入りすることの多い私たちには容易に想像がつきます。

※ サポートセンターのある石巻から、例えばみなし仮設の仙台に行くとして、ガソリン代(概算)と高速代だけでも、最低でも3,000円ほどかかります。さらに遠方になると、費用はもっとかかることになります。  

このように困っている人を見つけて支援しようとする団体が地元に拠点として存在するおかげで、私たちも離れたところから被災地での活動に参加することができます。東北ほっとプロジェクトへの応援もありがたいのですが、地元で頑張っている団体にもお気持ちを寄せていただければ幸いです。
 (ご参考) 一般社団法人 チーム王冠
   http://team-ohkan.net/

もちろん当プロジェクトのメンバーも、多様化する被災地の状況を注視しつつ、離れていてもできる支援、現地に行ってのお手伝い、わずかな力ではありますが継続して行く決意に変わりはありません。
しかしこうして活動できるのは、ご協力くださる皆様のおかげでもあり、あらためて御礼申し上げます。今後ともどうぞお見守りいただければ幸いです。


記:杉崎 庸子

2013年2月15日金曜日

暖房器具支援活動報告

暖房器具支援のご報告をさせていただきます。

【購入した暖房器具】2/14現在

コタツ6台 (4,990×6=29,940円)
石油ファンヒーター1台 (9,950円)
コタツヒーターユニット1台 (1,980円)

 

コタツ布団に関しては現地ボランティア『チーム王冠』さんに
寄せられた支援物資が数セットあり、そちらからお配りしています。

「コタツは津波で壊れてしまったけどテーブルは使える」ということで
ヒーターユニットだけ交換したお宅が一件ありました。

 今回支援をおこなったのは以前ブログにて告知させていただいた
”在宅避難者”、”みなし仮設居住者”の主にご高齢者の方です。

上記の購入した暖房器具の価格を見てもお察しいただけるかと思うのですが、私たち”非被災地”の感覚では決して高価な品物ではございません。しかしながら失職、収入の不安定さ、震災による多額の負債など先の見えない不安から明日の食べるものすら確保できるのかわからない状況に買え控えをなさる方がおられます。

震災から2年がまもなく経とうとしていますがいまだに畳を張り替えられず床板にダンボールを敷いて暮らす人たちがいます。暖房器具が1台しかないため屋内でも上着を着て生活している人たちがいます。必要な物を揃える余裕がなく、足りないものを我慢しながら生活している人たちがいます。
信じられない話ですが「暖房器具はドライヤーとお風呂だけ」と困り果てておっしゃられていた方にもお会いしました。


根本的な問題が何一つ解決しないまま、
”在宅避難”、”みなし仮設”が支援不必要とみられ、
「屋根と壁は用意したので後は自分でしっかり生きて下さい」
と世間から自分たちの存在、状況が忘れ去られてしまうことに
不安と焦りを感じながら暮らしている人たちがいる事を知ってほしい。

自分のおばぁちゃんは80歳を過ぎましたが、
周りに友人もいる、毎日の食事に困ることもない、
それでも時々弱気になっている時があります。

ましてこの被災地の”非日常”が長く続く中で暮らす人たちに、まだまだ当分の間は目を向け、話を聞き、出来ることをしていきたいと思っております。

皆様からお寄せいただいた支援金によりこれらの活動が行えますこと
心より感謝申し上げます。ありがとうございます。

東北ほっとプロジェクト:笠原宗一郎



 


2013年2月1日金曜日

暖房器具支援続報と現地活動

「みなし仮設」「借上げ仮設」と呼ばれる民間の賃貸住宅を仮設住宅として利用する被災世帯の中に、他と比べ情報や支援の手が届きにくく、また経済的に苦しいため今現在も厳しい寒さを我慢している方々がいることがわかり、我々のプロジェクトとして必要最低限の暖房器具を支援することを決めたのは既報の通りです。

1月30日、石巻市を中心に草の根的な被災者支援活動を続ける一般社団法人チーム王冠のボランティア活動に参加し、暖房支援についても話し合ってきました。チーム王冠にはフォローしているみなし仮設世帯の中から喫緊で支援が必要な方々のピックアップと、暖房器具の選定、配達などで協力をお願いしています。
彼らは毎日集まる膨大な支援のリクエストを集約し優先順位をつけ、少ない人員をやりくりして一件一件こなすという多忙な毎日を送っていますが、そんな中でみなし仮設向けの暖房支援については、今月(2月)上旬までに少なくとも3~4軒はお届を完了する予定とのことでした。

具体的な暖房の種類は支援対象の状況を見て判断します。独り用コタツや掘りごたつ用床置き型ヒーターなどを考えていますが、津波を被ってヒーターが使えなくなったコタツをただのテーブルとして使っている人もいるので、その場合には、ヒーター部分だけを交換して活かすということも考えています。
いずれにしても器具選定を含め、被災者からの信頼も厚いチーム王冠のスタッフがきめ細やかに対応してくれるので、 ご寄付を預けて頂いた皆様にはご安心いただきたいと思います。お届けが完了したのち、改めてご報告いたします。


さて、1月30日はチーム王冠が取り組んでいるボランティアの手伝いということで、石巻で活動してきました。
今回は「お茶っこバス」を任されました。お茶っこバスについては過去の記事をご覧いただければありがたいのですが、震災によって失われたコミュニティーの再生や住民同士の横のつながりを絶やさないための支援活動です。いわば出張型井戸端会議サポーターで、傾聴ボランティアという側面もあります。
ある程度長期的に携わってくると、被災した皆さんからお聴きできる話に少しずつ変化が出てきたことに気付かされます。最近では色々なリクエストが出てきて、それは例えばカラオケであったり近所の日帰り温泉であったりしますが、そんな「あれがしたい」「ここに行ってみたい」というお話は以前はなかなか聞けませんでした。それはボランティアである我々に遠慮されていたということもありますが、時間の経過とともに心に余裕が出てきたとも言えるのではないでしょうか。
また、特にカラオケは数少ない娯楽の一つで、ある方は震災前にはよくカラオケボックスにお友達と連れ立って行っていたそうです。つまりカラオケは震災前の日常生活の一部であったわけで、カラオケによって震災までのごく当たり前の楽しい日常がよみがえるのかもしれません。
こんな小さい変化に気づいたとき、被災地も少しづつ復興に向けて歩みつつあるのだなと思います。ただ津波で破壊されたカラオケ店はまだ再建していないことも多いので、少し離れたところに行かなければなりません。特にお年寄りなどは足(クルマ)がなく移動が不便なので、「カラオケボックスツアー」なども企画していければと考えています。

来月で東日本大震災から丸2年です。少しづつ復興に向けて歩みつつあるのは間違いありませんが、地域間、世帯間で差が開きつつあるのも確かです。
家を新築した人もいれば、みなし仮設で寒さに耐える日を送る人もいます。どちらも現実です。後者の中には2年経って風化を心配する人もいます。
「忘れていない」の気持ちを被災地に届けることの意味はまだ小さくないと思っています。そのためにも今後も活動を継続してまいります。見守っていただければ幸いです。

報告:杉崎順一

コミュニティー支援に使われるバス

日中でも冷蔵庫並みに寒いので、車内でも暖房が必須